SIerからウェブ系企業に転職した直後はどんな気持ちになるか?

筆者は30代で高年収のSIerから自社開発の会社に転職しました。

年収は半分とは言わないまでも、かなり下げての転職でした。

 

さて、SIerから転職した後、どういう気持ちになるのでしょうか。

 

Facebookにはたびたび「転職しました」というコメントが出てきますが、転職した人に

 

「ねぇ、どんな気持ち〜?」

 

と聞くのは難しいでしょう。

 

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そこで私が変わりに転職直後の気持ちを文章にしてみます。

 

転職が決まった後から入社まで

転職が決まった後、元のSIerに退職の意志を告げて、有給を消化し、次の会社に入社するまでの期間の気持ちは一言で言うと

 

「ハッピー」

 

です。

というのも、元々私はSIerの業務にポジティブな感情を抱いていなかった上に、退職時に所属していたチームが

  • COBOLプロジェクトで技術的な学びがない
  • 残業大好きな上司で時間がない
  • ExcelとPowerPointをいじって報告する業務でやりがいがない

と、世に言う「ダメなSIer」の典型のような感じだったので、常々「早く抜け出したい」と思っていました。

 

そういうネガティブな動機から転職を始めた場合、転職が決まったときは当然めちゃくちゃ幸せな気分になります。

 

空は青く、太陽が輝き、風は優しく、草木は祝福の音を鳴らし、星が綺麗に見えます。

 

ハッピーな気分は入社まで続きます。

入社前は夢を見るからです。

 

技術を身に着けて、バリバリ開発して、毎日やりがいがあって、残業もなく楽しいだろうなあと。

 

では、現実はどうなるのでしょうか?

 

入社直後は試用期間でクビにならないか不安すぎる

当たり前ですが、30代での転職は「即戦力」が求められます。

SIerとウェブ系では文化が全く違います。

 

わからないことも多く、

 

「本当に大丈夫なのか...?」

 

と常に不安な気持ちになります。

 

新卒で入ったSIerでは、1年目は子供を育てるかのように何もわからない自分を育ててくれました。

どの部署に行ってもたいていは優しく、聞けば誰かが教えてくれるような状況でした。

しかしながら、転職した場合は違います。

 

手取り足取り教えてもらうのではなく、自分の力でキャッチアップしなければなりません。ドキュメントを読み、ソースコードを読み、現在の課題を見つけ、自分で動いて仕事を作り、成果を出さなければ居場所がなくなります。

 

そんな不安を抱えながら初めての土日を迎えると、あんなに嫌だったSIerがちょっと恋しく思えてくるのです。

 

あのときは仕事がつまらなくて仕方がなかったけど、やることやっていれば給料がもらえたのはありがたかったなぁ。

 

「やること」が明確にわかっていたから、なんだかんだ楽だったなぁ。

 

業務時間は長いけど、長い業務時間を乗り越えれば別にクビにもならないから、気持ちは楽だったなぁ。

 

SIerで働きながら副業して、生活が安定してから転職すればよかったかなぁ。

 

みたいな、不安な気持ちが一気に押し寄せてきます。

 

「何か一つの成果を出すまで」

 

が一番辛いです。

 

特に「初めての転職 かつ 30代での転職 かつ 別業界への転職」 の場合は精神的な負担は大きいでしょう。

30代でSIerからウェブに転職するというのは、思った以上に茨の道です。

 

ですが、茨の道を越えることができれば、「転職2.0」の道が拓けてきます。

 

自分自身の市場価値を高め、スキルや専門性を磨き、市場で評価されて、転職しながら年収を上げていくような、「選択の自由」を掴み取る可能性が見えてきます。

 

もちろん、初めての転職では「自分が市場で評価される人間になれるかどうか」はわからないでしょう。

 

転職後、全く成果を出せずに「SIerでぬくぬくやればよかった... 」と後悔してしまう可能性も十分にあります。

 

私の周りでも、大企業から中小企業に転職して、結局肌に合わずに1〜2年後に大企業に出戻りのように転職する人は一定数います。

 

なんでも用意されていて、決められた業務をやればよかった大企業と、何も揃っていない中小企業では働き方が全く異なってきます。

 

決められたことをしっかりやれる、いわゆる優等生は大企業に向いています。

とにかく実力で、自分で提案して会社を動かしていきたい人は中小企業に向いています。

 

ですが、生来の向き不向きに関わらず、「大企業でやってきた仕事のやり方の癖」は身に染み付いてしまっているので、働き方を切り替えられない人は苦労するでしょう。

 

待っていれば機会がもらえるような環境は中小企業・ベンチャーにはありません。

黙って仕事を振ってもらえた大企業時代が幸せに思えてしまう可能性はあります。

 

「後悔」は表に出せない

「転職して後悔しました」なんて話を表ですることはあまりありません。

失敗を認めるようで、なんだかかっこ悪く感じてしまうからです。

だから、いちいちFacebookやTwitterでリアルな失敗談は語られません。

 

私自身も「失敗だった」とは思っていませんが、恥ずかしながら若干の「後悔」を感じる瞬間はあります。

 

なんといっても年収を下げての転職なのです(SIerからウェブに転職する場合はだいたい年収が下がる)

 

自分の未来を信じること。

努力し続けること。

 

努力して成果が出るかどうかは本人の資質次第なのでわかりませんが、それでも覚悟を決めてやるしかありません。

 

後悔している人は一定数はいます。

いちいち後悔を表に出す人はいませんし、Facebookにはみんなポジティブなことしか書きません。

 

ですが、この記事の読者の方には「前職が嫌すぎて転職しても、転職後に後悔する可能性はある」と認識いただければと思います。

 

それでも転職したいのか、やっぱりぬるま湯でぬくぬくやっていきたいのか。

ぬるま湯は決して悪くないし、ぬるい風呂でお金がもらえるなら、それはそれで幸せなことです(企業が潰れないのであればですが)

 

まぁ、どんなに考えても実際に転職してみないとわからないので、

 

「市場で勝負して自由を勝ち取りたいか、仕事は仕事と割り切って高給をもらってプライベートで楽しく生きるのが幸せなのか」

 

程度の、自分の価値観の確認はしておくのがいいでしょう。

 

市場で勝負するなら、転職は若ければ若いほどいいです。