大企業とベンチャー(中小企業)の風通しの良さの違い

会社説明会などで、「弊社は風通しの良い会社です」と紹介されることがあると思います。

「風通しが良い」と聞くと、以下のような職場をイメージするでしょう。

  • 年齢に関係なく意見が言える
  • 躊躇なく議論に参加できる
  • フラットで働きやすい

私が新卒で入社した大手SIerも会社のパンフレットには「風通しが良い」と書いてありました。

ですが、転職して振り返ってみると、風通しなんて別に良くなかったなぁと感じます。

 

「風通しが良い」なんて他社と比較しないとわからない

大手SIerで会社の説明資料を書いている方はおそらく、転職経験がない人です。

「自社が風通しが良いかどうか」なんて他社と比較しないとわかりません。

 

そして私の経験上、年功序列が根強く残る日系大企業の多くは、風通しは全然良くありません。

 

これは大前提ですが、年齢に関係なく意見を言うのは当たり前です。

業務で成果を出すために「年齢」は関係ありません。

 

なので発言者が誰であれ、価値のある意見には耳を傾けるべきです。

 

ですが、大企業では年齢にほぼ比例した「明確な序列」が重視されます。

少なくとも私が所属していたSIerではそうでした。

 

システム開発で、対象のシステムに関する知識がなくても、役職が上であれば尊重され、対象のシステムに関する知識があっても若手の意見は取り入れられにくい風潮がありました。

 

年功序列を前提とした組織で「フラットな職場」を作るのは難しいのです。

 

人数が多くなると組織は階層化する

組織の人数が多くなればなるほど、階層は巨大になっていきます。

一つ一つの意思決定にたくさんの承認が必要になり、意思決定のフラットさは失われます。

階層化された組織では「権限を持つ人」との距離がどうしても遠くなるため、「意見は言えても大勢に影響はない」みたいな状態になります。

 

そしてお金を大きく動かす意思決定ができる立場になるのは40代からで、その年になるとどちらかというと老害側で、風通しもクソもない年齢になっています。

 

中小企業やベンチャー企業に転職して驚いたのは、意思決定者との距離の力です。

毎週の企画会議では社長が参加しますし、社長が参加していればすぐに物事が決まります。

決裁権を持つ人ともすぐに相談できます。

 

大企業だと「部長に相談する」のは40代の中堅社員以上にならないと厳しいでしょう。

ですが、中小・ベンチャーだと部長はすぐそばにいます。

 

プロジェクトマネージャーが部長であったりします。

 

小さい会社の方が風通しが良い

「小さい会社」といっても、ワンマン社長の独断で全てが進む会社もあるので、「小さい会社だったら絶対風通しいいよ」とはいえません。

 

おすすめは社員数100人前後の上場企業です。

 

組織体制が整いつつある会社ですが、まだまだ固まりきっていません。

成長段階にある企業といえるでしょう。

 

100人前後の会社であれば、若手であろうと発言は通ります。

というのも、若手にも頑張ってもらわないとビジネスが回らないからです。

 

成長途上にある会社は階層意識や縄張り意識が希薄です。

中途で次々と人が入ってくるので、年齢もいちいち気にしませんし、年次で評価することもありません。

 

大企業でよくある「あの人は2008年入社の12年目だから◯◯な業務をやらせる」みたいな、年次で業務を判断することはありません。

 

「年次」でなく「何ができるか」の能力で業務が割り当てられます。

年次で仕事を決められるよりもずっとフラットだと思いませんか?

 

また、年を取っているといって、それだけで偉くなることもありません。

 

年齢に関わらず、小さい会社は「手を上げればチャンスを掴める可能性が高い」のは間違いないでしょう。

少なくとも私の経験上では小さな会社の方が、「やりたい」が通りやすいです。

 

大企業では「やりたい」の後に大量の承認が必要だったり、社内ルールがガチガチに固められていて、自由度が低いです。

 

人が多くなるほど、ルールも多くなります。

問題が起きるたびにルールが増えていくからです。

 

そうなると、大企業はルールで溢れかえるのは必然。

守らなければならないルールや、踏まなければならない手続きにブロックされて、チャレンジは妨げられます。

 

小さい会社でビジネス感覚を身に付けよう

 

小さい会社の何がいいかというと、ビジネスとの距離が近いことです。

 

自分がビジネスを回せば、会社の業績に直接つながってきます。

「ビジネスへの貢献が近い感覚」は想像以上にモチベーションが上がります。

 

大企業だと、自分の業務が会社全体にどんな影響があるのかは見えません。

日が変わるまで残業したことが会社の何の役に立つのかわかりません。

会社の何かを変えようとしても一ミリも変わりません。

 

提案は通っても市場との距離は遠く、開発者のアイデアが市場を動かす、市場を作っていくような仕事は基本的にできません。

顧客との距離が遠く、営業を通じて間接的にしか情報が入らないので、自分の成果が顧客に響く様子がわかりません。

 

とにかく大企業での仕事はビジネス感覚が身につきません。

個人的には大企業の社員の90%くらいがビジネス音痴だと思います。

 

ビジネス音痴というのは、市場から遠く、世の中から隔絶された大企業文化の馴れ合いの中でビジネスをしているということです。

 

昔からのお客さんがいて、そのお客さんとの付き合いを続けるために社員は必死になって働きます。

ビジネスを作る経験はなかなか積めず、できても既存の古い何かをちょっと回収するくらいの経験です。

 

小さい会社では自分のアイデアや実装をダイレクトに市場に問うことができます。

成果が売上につながっている様子が見えやすいです。

 

小さなチームで、必要な機能を素早く実装し、お客さんの反応を分析し、また製品を改善していくといったサイクルの中で、ビジネス感覚を磨くことができます。

 

自分がどんな仕事をしていて、それがお客さんにどう役に立つのかが見えますし、説明できます。

得意分野に応じた明確な「職務」があり、職務を全うして会社の利益に貢献していくのです。

 

逆に言えば、成果を出さなければ非常に居づらくなってしまうため、小さな企業は「とりあえずお金ほしい」「仕事は仕事。プライベートを楽しみたい」という人には向きません。

 

仕事を通じて成長したい人、とにかくビジネス感覚を磨いて、将来自分の旗揚げにつなげたい人は絶対に小さい会社の方が向いてます。

 

ここまで「ビジネス感覚」の話をしましたが、小さい会社が何よりも素晴らしいというわけではありません。

 

ビジネスに失敗したら会社が傾くかもしれないですし、大企業の良いところは「自分が成果を出さなくても給料は勝手に上がっていく」ところです。

 

つまり、会社が潰れさえしなければ大企業勤務は「美味しい」のです。

 

自分が成長しなくても誰かが仕事をしてますし、誰も成長しなくても今まで通りの仕組みの中で仕事を回していけば利益は出ます。

 

そういう意味で、「俺は市場で生きていくんや!」みたいに、意識が高くない人は大企業のほうが良いです。

 

給料も大企業の方が高いことが多いです。

 

やる気に満ち溢れていて、成長したい人だったり、ビジネスを創って自分の力を試したい人は中小企業(ベンチャー企業)がおすすめです。

 

マジで成長感覚が全く違います。

ビジネスを作っていけます。

 

「風通しの良さだけ」で会社は選ぶな

小さい会社、ベンチャー企業、フラットな組織...色々と書いてきましたが、「風通しが良い」だけで会社を選ぶと痛い目にあうこともあります。

 

たとえば、これです。

 

 

 

小さい会社に行くにしても、過去事例はしっかり研究しましょう。

具体的には、オープンワークをよくみて、批判的な意見が少ない会社にしましょう。

残業時間が多い中小企業は地獄なので、

 

「残業20時間未満」で「批判的な意見が少ない」

 

小さめの会社に入るのがいいと思います。

リソースクリエイション的なノリがキツい人もいると思うので、間違わないようにしてください。