アイリスオーヤマのスピード感に学べ!日系大企業の仕事の遅さは「おっさん」が気に入る提案しかできないから

2021年5月22日(土)のお昼ご飯を食べながら『中居正広のニュースな会』を見た。

番組ではアイリスオーヤマが特集されていて、

 

「アイリスオーヤマのスピード感は他の家電メーカーの比ではない。その理由の一つに根回しの少なさがある」

 

「他のメーカーでは企画を通すのに3ヶ月かかり、何度も根回しをして、何度も会議をしなければいけない。アイリスでは1日で意思決定に進む」

 

みたいな話をしていたように見えた。

 

会議・根回しのような発言を聞いて私が昔勤めていた日系大手SIerを思い出した。

 

何をするにも時間がかかり、時間をかけた割にできた企画は金太郎飴で、何時何時何があっても、野暮な提案しか出来上がらなかった。

 

なぜか。

 

形式的な手続きを重んじる日系大企業

本質的に価値を生み出すことよりも、手続きを重視する文化が日系大企業にはある。

決められた手順を踏んで、決められたレビュープロセスに従っていることは、企画や提案の中身よりも重要だ。

 

「意思決定に時間がかかる」というが、正確には意思決定自体に時間をかけているわけではない。

 

「時間がかかるプロセス」はもはや既定路線で、5秒で判断しようと1ヶ月で判断しようと、「意思決定までに費やす時間」は変わらない。

 

とにかく手順を踏むのに時間がかかるのだ。

具体的には、

  • チーム内レビュー
  • チームリーダーレビュー
  • プロジェクトマネージャーレビュー
  • 部長レビュー
  • 本部長レビュー

みたいな、様々な人に「レビュー」してもらって、「承認を得た」というお墨付きを得るために多大なる時間を消費する。

 

銀行の稟議スタンプラリーと同じだ。

 

おっさんの脳内にある知識を超える意見は承認されない

日系大企業...私の場合は大手SIerだが、このような大手SIerが作るプロダクトがいつも使いづらく、愚鈍なものになる理由はシンプルだ。

 

おっさんが不勉強だからである。

 

日系大企業では「承認」の権限をおっさんが握っている。

何をするにもおっさんが承認しなければ仕事は進まない。

 

そしておっさんは基本的に不勉強であるため、「自分が知らないものは怖い」という恐怖心に囚われている。

SIerのような減点文化の組織では「知らないものは怖い」という気持ちは大きくなる。

 

「知らないから危険」

「前例がないから怖い」

 

といって、新しいことをやってこなかった。

その結果、築50年の木造ボロアパートのようなシステムが基幹システムとして使われ続ける羽目になっている。

 

ボロすぎて誰も手をつけられず、中が迷宮になっているため、同じ仕様で立て直すこともできない。

 

何も手を出せない状態のまま、静かに時が過ぎ去り、「自分の担当」が外れるのを待つしかないのがSIerの基幹システムの現状だ。

 

websier.net

 

ちゃんと仕事がしたいなら大手SIerから脱出しよう

10年近くSIerで働いて確信したことがある。

SIerではどんなにやる気があってもまともな仕事はできない。

 

標準開発プロセスに従って、工数パズルやドキュメントのパズルを組み合わせて揃えていくような仕事しかない。

 

創造性を発揮して、自分の頭を使って何かを設計する機会はほとんどないし、あるとしても大手SIerのプロパー社員はまともにシステムの設計などできない。

 

大規模システムの「保守」だけを経験していても、設計なんてできるようにはならないのだ。

 

こういうと、大手SIerに誇りを持っているプライドだけ高い無能な人たちは、

 

「俺達は大規模システムを扱っている!設計してるから!お前は何もわかってない!」

 

と反論してくるだろうが、ゼロからシステムを構築する経験を積める人間は1%もいないし、何かを作るときに「自分」が主体となって設計できる人はプロジェクトを担当する1%の社員の中でもごく一部だ。

 

プロジェクトマネージャー以外の人間は意思決定の重要な部分以外に関わっていけないのがSIerの大きな問題でもある。

 

プロジェクトにとって重要な意思決定はプロジェクトマネージャーとその上のおっさんによって勝手に決められていくので、若手にとっては時間の無駄が多すぎるのだ。

 

そういう意味でも、若手が大手SIerにいる意味は「金」以外にはほとんどメリットはない。

 

とにかく終身雇用で、キャリアなんてどうでもいいから金がほしい!という人にはSIerはおすすめできるが、主体的にキャリアを選んでいきたい志ある若者はSIerに近づくべきではない。