仕事に「電話」を使うのは時代遅れ!?チャットと電話、どう使い分けていたのか?
前職はシステムインテグレータという、コテコテの日系大企業で働き、現在はウェブ系自社開発企業で働いている者です。
皆さんは職場で電話、使ってますか?
私は今、電話は全く使っていません。
前職では「職場用携帯」が与えられ、急ぎの用事があるときは電話を鳴らしていました。
ある日の「夕会」で解決が進まない課題について議論がありました。
18時30分です。
別の部署の方に連絡して、問い合わせを行おうということになったのですが、いかんせん18時30分。遅い時間ですね。
メールで問い合わせを入れておいて、翌日の午前中に打ち合わせを入れようと考えていたら、そのプロジェクトのプロジェクトマネージャー(PM)は
「電話して動かせ!」
と言ってきました。
業務時間外(という概念はないのですが)に相手を叩き起こす手段として、あるいは自分本位に相手の時間を強制的に奪う方法として、電話は使われていました。
他人を尊重せず、自分が一番という人が多い環境では電話は必須です。
メールやチャットが返ってこなくても文句はいえませんが、電話に出なかったら文句がいえます。
システムコール、というか、システム障害が起こったときの連絡用にも電話は使われていましたが、障害時の緊急連絡として電話を使うのは正しかったと思います。
電話がなくても仕事はできる
ウェブ系(自社開発)の企業は割と先進的だと思いますが、電話は本当に使いません。
1ヶ月に1度もかかってきません。3ヶ月に1度もないでしょう。
開発メンバーの電話番号すら知らないので、電話をしようにも、やりようがないのです。
業務上のやり取りは全て、チャット上で行います。
プラットフォームを担当するチーム(SIerでいう基盤チーム)はシステムの安定運用を担保するために、問題が起こったら電話を受け取れるようにしているかもしれませんが、SIerにいた頃のように「毎晩障害コールで起こされて、自宅から深夜対応を行う」みたいな地獄は見たことがありません。
会話したいときはビデオ通話を利用します。
ZoomやTeamsを使って連絡します。
ZoomやTeamsを電話代わりに使っている感じはありますが、基本的にミーティング用途なので、電話と違って「急に他人の時間を奪う」ことはありません。
電話をなるべく使わない会社は、他人の時間を尊重する会社です。
以前勤めていたSIerでは休日も、ゴールデンウィークも、年末年始の連休も、常に業務用スマートフォンを肌身離さず持ち続けるよう義務付けられていました。
旅行に行く際は「リモート対応できる業務用PC」を持ち運ぶよう言われていました。
若手社員はプライベートを削ってでも会社のシステムを優先する、という「常識」があったためです。
それが当たり前の環境で、「とにかく仕事が第一」「仕事を優先しないやつは非国民」という空気がありました。
こういう環境ではストレスが溜まります。仕事が嫌いではないですし、家でもパソコンに向かって仕事するのは苦ではないのですが、とにかく何もかもを強制し、他人の時間を支配しようとする風潮が嫌いでした。
電話は他人の時間を支配する手段で、他人を尊重しない傲慢な人間が好む道具なのです。
社用携帯はBYOD(Bring Your Own Device)でなんとかなる
私用携帯だとデータの流出が怖いという企業も多いかと思いますが、そもそも会社携帯を持たせて業務時間外に社員を拘束する必要があるかどうかをよく検討してみる必要があります。
会社携帯ならMDMのプロファイルをインストールして、紛失した際にリモートでデータ削除を行うこともできます。
営業職の方なら会社携帯は必須アイテムとなるでしょう。
ただ、エンジニアなどの業務中は基本的にパソコンを使っている職種であれば、仕事中はパソコンを開いているんだから、いちいち会社携帯で働く必要はないはずです。
パソコンを開けばチャットなどが流れています。
連絡はチャットでできるはずです。
電話の用途を限定するのであれば、BYODで十分だといえます。
電話は他人の集中力をぶち切る妨害行為
SIerにいた頃は、中の人に生産性だとか集中力の概念が皆無でした。
とにかく根性で、とにかくやかましく、とにかくよく喋る。
うるさいオフィスで四六時中会議して、電話して、クリエイティブに何かを生み出すような環境とはとても言えませんでした。
何かに集中したあと、一度集中をぶち切られて、そこからまた集中するには時間がかかります。チャットの通知ですら鬱陶しいくらいです。
電話は他人の作業を途中でぶった切る妨害行為だと認識しなければいけません。
SIerでは「集中する時間」を意識する人は誰もいませんでしたが、ウェブ系の企業では
「エンジニアが集中して机に向かう時間」
をとても大切にします。
用がなければあまり話しかけないのでドライに見えるかもしれませんが、他人の環境を大切にしているだけです。
会議や電話で集中を切られないので、業務時間の密度が濃く、充実した時間を過ごせます。
一日中、飛び飛びで会議が入り、空いている時間にはひっきりなしに電話がかかってくるような環境ではまともな知的労働はできません。
知識集約型の産業では、電話は時代遅れです。
チャットを使って非同期でコミュニケーションを取りましょう。
そして必要なときに、あらかじめ予定しておいた時間帯で、対面で議論すればいいのです。
メリハリをつけて、何かを生み出すことに集中しましょう。
メリハリのある環境で働きましょう。