「詰める文化」がある会社では日々ストレスが溜まり、生産性が落ちる
昨今は何でもかんでも「パワハラ」とする傾向があり、何をパワハラとするかは人次第なのですが、この記事では
「他人に対する当たりの強さ」
を軸に「パワハラ感」を考えていきます。
多くの方の予想通りかと思いますが、「パワハラ感」はSIerの方が強いです。
「パワハラ感」を醸成するのは企業の文化です。
文化は会社の先輩から後輩に脈々と受け継がれていきます。
会社の上司がパワハラ気味な場合、それに影響を受けてしまう人もいます。
私が所属していたSIerは「詰める文化」と呼ばれるような文化がありました。
人に厳しく当たっていくような仕事の仕方が「ストイックで正しくてかっこいい」と思われる風潮があったのです。
「なんで?」
「そこ違うよね」
「説明してよ」
「どういうこと?」
「教えて」
「報告して」
報告を求めるのは会社で働く以上、当然のことです。
ですが、その報告が過度に細かったり、いちいち「完璧」を求めようとする場合、逆に生産性が落ちます。
詰める文化の会社では報告コストが異常に高くなり、貴重な業務時間を大量に報告資料作りに費やされることになります。
困ったことに「詰める文化」で育ってきた管理職は、「詰めることこそが正義で、会社のためになっている」と思い込んでいるのです。
なので、真面目でストイックな人が多いほど、詰める文化は広がっていくことになります。
私が勤めていたSIerの人たちは皆、真面目でストイックで、自分の頭で考えることが苦手な人達でした。
エリート意識が強く、自分たちの仕事が素晴らしいと疑いもせず、誇らしげに、偉そうにしていました。
なぜSIerでは詰める文化が生まれるのか?
SIerで詰める文化が生まれるのは、常に納期に追われる客商売だからです。
顧客に提示したスケジュール通りに仕事を進めるために、無理なスケジュールを組みます。
無理なスケジュールの仕事を完成させるためには、鞭で馬を叩くように人間を走らせなければいけません。
仕事自体はつまらないので、鞭で叩かないとSIerの人は走らないのです。
客はプロジェクトマネージャーを詰める
↓
プロジェクトマネージャーはプロジェクトリーダーを詰める
↓
プロジェクトリーダーはプロジェクトメンバーを詰める
↓
プロジェクトメンバーは外注先を詰める
というように、詰めの連鎖が続きます。
殺し合いの螺旋です。
どういう会社に「詰める文化」が生まれるのか
詰め合い・殺し合いは「高学歴の人間が集まる就職偏差値が高い会社」で行われる傾向があります。
受験エリートは根性があり、ストイックです。
「机に向かい続け、働き続けるのが当たり前」
と考える素地があります。
コンサル、投資銀行、リクルート系、大手SIer、アクセンチュア...
就職偏差値が高く、高学歴エリートが集まる会社です。
- 高学歴エリートが集まる
- オープンワークの「残業時間」が30時間以上
- 顧客がいて締切に追われる
という、3つの条件を満たす会社には「詰める文化」が生まれます。
人間を無理やり走らせることができ、鞭で叩く方も「ストイックな自分」に酔えるからです。
自社開発の企業で消えた「詰める文化」
ある程度利益が出ている自社開発の企業はいい意味でまったりしています。
成長段階にあるスタートアップでは、鞭で叩くために詰める文化があるかもしれませんが、ある程度成熟した市場で顧客を掴んでいる自社開発企業はカツカツしていません。
メンバーには長期で会社にいてもらわなければ困りますし、長期的に頑張る会社には「詰めるマネジメント」は合わないのです。
エリートが集まってもGoogleなどでは詰める文化はないですよね。
顧客に追い詰められることもないからです。
「詰める文化」は無意味で無価値
詰める文化は基本的には害悪です。
詰められて良いことはほとんどありません。
詰めて品質を上げるんだ!とかつての会社の人たちは言っていましたが、詰められないとクオリティが上がらないような人を採用するところに本質的な問題があります。
詰められると生産性が下がり、日々の業務が「怒られないための仕事」になります。
毎日がストレスフルで、新しいアイディアは出てこなくなります。
誰かがアイディアを持っていたとしても、発表する心理的コストが高く、発表しても「詰められる」からです。
自由な発想でプロダクトを改善していく「自社開発」の企業で「詰める」のは自滅行為であるとわかるでしょう。
転職活動をする際にも、せっかく職場を変えるならば「詰める文化」がない会社に行くのをおすすめします。
毎日のストレスがないと、仕事のやる気も違います。
職場がストレスフルだと毎日がイライラして寿命が縮まってしまいますよ。